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アイスコーヒーを見つけよう



テキスト:有富裕一

イラスト:阿部隆太


最初にグラスに対して1/3以下の氷を入れて、常温のコーヒーを注ぎます。

氷の量がグラス1/3以下であればコーヒーを入れた時に氷が浮きます。


次にストローを口にくわえてグラスの底まで突っ込みます。

その位置で少しだけ飲みます。そこはまだ常温のコーヒーです。


そして底からストローの位置を徐々に上げていき、水面(コーヒー面)ギリギリのところを飲みます。

そこは氷も一緒に浮いているので、とても冷えたコーヒーになります。


アイスコーヒーです。


グラスを口につけて飲む方法では常に氷に接しているコーヒーが喉を通ることになります。

これはアイスコーヒーを「飲む」ということになります。


ストローを使うことでアイスコーヒーを見つけることができます。


常温のコーヒーとアイスコーヒーの違いはわかりましたが、ここで疑問が生まれます。

ストローを徐々に上げていく段階でどこからアイスコーヒーと判断したかです。


氷が入ったグラスの中は底からコーヒー面にかけて温度が下がっていきます。

グラス全体を見ると「アイスコーヒーになりつつあるコーヒー」の方が量として多いと思います。


アイスコーヒーをストローで飲むたびに思います。

「なりつつある方が世の中に多いのではないか」と。


たとえば、好き。嫌い。普通。どちらでもない。どちらでもある。という判断があるとして、それ以外は「好きになりつつある」「嫌いになりつつある」「どちらでもないになりつつある」など「~つつある」が占めているということです。


これを踏まえて、もし、あなたが「私のこと好きなの?嫌いなの?はっきりしてよ!!」と体育館裏や公園や海岸で迫られた時にこの話をしてみて下さい。「ストローでアイスコーヒーを見つけるようにね、~つつあるっていうのが多くを占めていてね、今はそれなんだよ」と。



フラれつつあるでなく、瞬間でフラれます。

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