祖母どこ?
母方の祖母の一周忌が先月行われた。
有富家の前には車2台が停まり、1台目には父、叔母、長女、義兄、甥が乗り、
2台目には母、次女、私が乗って寺へ向かった。
あと5分程で祖母の墓がある藤沢の寺に着く時、車内の母のスマホが鳴った。
話の様子だと叔母と話しているらしい。(母は叔母と話す時、故郷である岩手の東北訛りになる)
スマホを切った母が言うには祖母の位牌を叔母が住むマンションに忘れてきたらしい。
車を運転する次女はその話を聞いて「じゃあ気を飛ばすの?」と言った。
確かに御住職に法要して頂き、我々が焼香する際、的となる位牌がないので、その時は藤沢から叔母のマンションに気を飛ばすという格好になる。
次女が運転しながらササッと回答した内容は若干ファンタジーだが説得力があり、ユーモアも含んでいた。
私は少し違うことを考えていた。「祖母どこ?」
「祖母は各々の心の中」「祖母は風になった」「祖母は位牌に移った」
「祖母の遺骨は墓にあるから墓」
叔母が位牌を忘れなければ私の生活で一度も出なかった言葉
「祖母どこ?」