家具谷さん
家具谷(かぐたに)さんは新宿の21階建ての駅ビルの8階で働いており、その駅ビルは7階がレストランフロアなので、昼食はそのレストランフロアで済ますか、お弁当を作ってきて休憩室(9階)で済ましている。休憩室は四方の内一面がガラス張りになっている。休憩室のテーブルは正面から見て「口」の下の「_」の部分をマイナスした形で、150cm角になっている。
休憩の60分のうち(45分と15分でも分けられる)、最初の10分でお弁当をたいらげ(米はジップロックのタッパーにパンパンに入れて400g)、残りの時間はハンカチをテーブルに敷いて両腕をX字に交差させて枕とし、うつ伏せで寝ている。
※以降家具谷さん=かぐっちゃん
そんな、かぐっちゃんが私に休憩所で起きたことについて、話してくれた。
隣の部署のお客様相談窓口でマネージャーをやっている社員で今年50歳になるが、主任の人(2年前に転職してきたから、妥当な職位とも言える)で、その人も愛妻弁当を持ってきては食べている。たまたま休憩が重なり、(かぐっちゃんは休憩室が混む時間帯を避けている、OLのピーチクパーチクがNGとのこと、ちなみにかぐっちゃんは女性で私の6つ上)お互いの部署の人の寸評を交わしているうちに、「家具ちゃん、この休憩室の窓からトンビを見たことはあるか?」と唐突に尋ねられた。(開かないから窓じゃない?窓の定義ってなんだろ、仕事に戻ったらググろ)と考えつつ、「いや、ないですよ。トンビって江ノ島とかにいて、トンビに注意!!って注意喚起されてるヤツですよね?カラスならよく見ますが」とかぐっちゃんは応じたところ、「カラスはあるんだよ、カラスは。でも俺、一回だけあるの、ここからトンビを見たことが、また見たいのよ。わかる?この気持ち?」とさらに尋ねてきた。かぐっちゃんはとにかく午睡のタイムを削られるのが嫌だったので、シカトして寝た。
結局、かぐっちゃんはその休憩室でトンビを見ないままその仕事を辞めてしまった。
主任は嫁がロシアンパブで捕まえた女で且つ不倫もしていたので話半分に聞くのがベスト対応な人だったから特に気にしていなかった。(不倫相手は主任とホテルから出る際、主任の腕時計を奪い、「次会ってくれるまで、この時計を返さないんだから!!」と言われていたらしい。)
しょーもな。かぐっちゃん、また面白い話聞かせてよ。