お酒で亡くなった祖父
祖母の一周忌後、藤沢の料亭で会食が行われた。
会食からは次女の彼氏も参加し、偲ぶというよりは次女の彼氏以外は喪服なただの
宴会になった。
車を運転する人、小学五年生の甥以外はよく呑んだ。
帰りに母と叔母と同じ車になった。祖母の一周忌と宴会をふまえて
私は「おばぁちゃんはお酒は呑んだの?」と二人に訊いた。
叔母は答えた「母さんはまったく呑まなかった、ほら、旦那を酒で亡くしたから」
私は祖父について何も知らなかった。私が生まれた時、既に亡くなっており、顔を見たのは母の実家、岩手にある遺影だけだった。
そうか、酒で体を悪くして亡くなったんだな、と率直に思った。
自分も呑み過ぎるから自愛しないとな。
もっと祖父個人について知りたいと思い、「お酒で?」とだけ叔母に返した。
そうそう、父さんはおまわりさんでね、帰りに酔っぱらって自転車に乗って土手から
転がり落ちて打ちどころが悪くて亡くなったのよ。
「酒で亡くしたから」という言葉の詳細が病気ではなく、アクシデント方面だった。
「父さんは、あれ、加藤茶みたいな感じの」と叔母。
東北岩手でおまわりさんして酔っぱらって土手から転がり落ちて亡くなった祖父。
お盆の季節で、地域の各家庭からお呼ばれして梯子酒してそのまま亡くなった祖父。
同じ血が流れていることを嬉しく思う。