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あの時、流れるような昇進でした


昔、働いていた職場で菓子パンを買いに走らされたことがあります。

自分の上司が仕事の対応で昼休憩を取ることが出来なかったためです。


ただ、上司に指示されてのことではなく、その上司と当時関係を持っていた事務員からLINEで指示されてのことでした。

「○○さんが昼行けてないから、大好きな菓子パン買ってきて差し上げて」と。

本当は自分が買ってあげたいのですが、非公式の関係であるため、部下の私に指示が下ったのだと思います。

私は日頃からその事務員さんにお世話になっており、彼女が催す呑み会にも時々お誘いを頂いていたため、この使命をまっとうしたいという気持ちになりました。


それとなく上司に伺いました。「お昼取られていないようですが、何か買ってきますか?」

上司は「あま~い菓子パンを3つ欲しい」ということでした。

再び、事務員さんにLINEで菓子パンのセレクトについて相談をして、彼女おすすめのチョコが入っている硬い系の菓子パンと他2点は売り場の中で甘いと思われるものを買ってきました。


上司に手渡すと、「気が利くね有富くん」とご満悦の様子でした。


当時の私の上司は部下を昇進させるのが早く、且つ推薦した部下は昇進試験に落ちることがないという噂を聞いたことがありました。


そして噂に違わず、「気が利くね有富くん」からほどなくして、自分が推薦するから昇進試験を受けてみないか?というもちかけがありました。


私はすぐに試験を受け、昇進しました。


上司が昼を取り損ねる→関係をもっている事務員がそれに気づき私に指示する→菓子パンを買って渡す→昇進する。


あの時、流れるような昇進でした。


イラスト:阿部隆太


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